竜王名人って凄いの? ~豊島竜王名人誕生を祝って~

趣味

豊島竜王名人誕生を祝って

2019年12月6,7日(金、土)第32期竜王戦7番勝負の第5局 
143手にて豊島名人が広瀬竜王を破り、約5年ぶりに竜王・名人が誕生
 

まず、豊島竜王・名人おめでとうございます!

 

この後、豊島さんについて語り、竜王名人の凄さについて書いていきます。

 

豊島名人・竜王の人となり

豊島さんは一見物静かで温厚な印象 
豊島さんを知る周囲の反応を見ると、根は真面目で冷静、勝つ将棋に向かってひたむきに進んでいるようです。 
勝負に拘るより探究心に負けてしまう羽生さんとは対象的かもしれません。 
しかし、勝ちにこだわらないと将棋界のトップには君臨できないのは紛れもない事実でしょう。 

小学3年生にしてプロの養成機関である奨励会へ入会

神童です。

小学3年生でプロを目指すなんて想像できますか?私が将来の夢を思い描いたのは6年生になってからで、卒業アルバムに書くために考えたのが初めてでした。
「奨励会の最後の一年までは序盤が雑でした。」というインタビューの回答有
熾烈な争いを繰り広げている奨励会の三段リーグにおいて序盤の研究を手抜きしていたかの発言には驚きです。序盤の研究に力を入れずに三段リーグを勝ち抜けたのは天才の証拠でしょう。

16歳でプロデビュー

当時はなんと16歳の高校生。私は部活に通い、土日の遠征費用のために親からお小遣いをもらっていた頃です。

タイトル初挑戦は21歳だが

いつかは必ずタイトルを取るだろうと言われ21歳にもう一歩のところまで行くが獲得にはならず、28歳にあの羽生さんを破って棋聖を獲得。
タイトル初挑戦は、2014年の王座戦。挑戦者決定戦で丸山九段を破り、羽生王座への挑戦権を獲得するも、2勝3敗で惜しくも敗れる。その後2回チャンスが回ってきたがいずれも獲得ならず。もう一歩の時期が7年続いた。

テレビで豊島さんを有名にした名言

2012年のNHK杯で、佐藤紳哉六段(当時)が対局前のインタビューで放った言葉でしょう。 
「豊島? 強いよね。序盤・中盤・終盤、隙がないと思うよ。」 
隙きのない豊島さんの強さをコミカルに分かりやすく表現 
後に将棋界においてこのフレーズが流行し、佐藤六段も、当時の豊島七段も有名に 

解いた最長の詰将棋は約100手

あるアンケートでそう答えていたようです。 
んーーーーーー 
そんな詰将棋があるのか!?!?!?!?!?!? 
最短手数だって証明ができるんでしょうか。
そもそもプロの将棋はだいたい100手ちょいで勝負がつくんだけど、それと同じ手数の詰将棋なんて存在するんですかね。

 

豊島さんへの想い

豊島さんにお会いした時の話

それは2018年に行われた棋聖戦(羽生棋聖対豊島八段)の前夜祭、歓談タイムのことでした。 
人気は羽生さんの方が上でしたが、私は将来有望な豊島さんめがけて突撃。 
礼儀と思い自己紹介のつもりで名刺を出し、時間も少ないし交換は良いですよと断ったのですが、豊島さんは面倒くさがりもせず、嫌な顔もせずスーツのポケットから名刺を出し、丁寧に交換して下さりました。 
その後記念撮影をやって、分かれる際に 
「思いっきって指して下さい。」 
なんて何様のつもりなのか自分でも訳が分からないことを言い放ってしまいました。 

この翌日に豊島さんはうっかりミスで負けてしまったのです。豊島さんは振り返りのコメントで、 
「うっかりが出てしまった。別の手で長期戦にすればよかった。」
と仰っています。 

私の一言なんて全く影響を与えてないんだろうなと頭では分かっていたものの、前夜祭で豊島さんに放った自分の言葉に反省あるのみでした。 
実際、豊島さんは3勝2敗で初のタイトルを取得したのです。 
いやあ〜前夜祭に行ってよかった。

豊島さんの四段プロデビューと私の社会人デビューが一緒

そうなんです。同じ時期に稼ぎ出し始めたのに今や月とスッポン。いや、比べるのもダメダメですね。豊島さん!あと10年ほど竜王名人でいてください。

豊島さんはついつい応援したくなる好青年

内面にどんな闘志を秘めているのだろう。
あるいは闘志ではなく純粋に勝つことのみを考えているのだろうか。
謙虚で控えめなのに成績は抜群。坦々と勝ちを重ねていく姿が清々しくついつい応援したくなります。

 

竜王・名人の凄さ

プロの将棋の世界には以下の通りタイトルが8つある。

  • 竜王
  • 名人
  • 叡王
  • 王位
  • 王座
  • 棋王
  • 王将
  • 棋聖

プロの棋士とはいえタイトルを一つ取るのが夢のまた夢であり、竜王と名人は他のタイトルとは一線を画するもので、同時に保持することはプロ棋士の頂点に君臨した証と言えるでしょう。 

全棋士が1年をかけてこの8つのタイトルを目指して戦っているのである。 
タイトルを取るために1年に8回チャンスがあるように思えるが、名人に挑戦できるのはA級に在籍するトップ棋士10人だけ。名人になるには最短でも5年を要し、歴史が長く、賞金も竜王に次ぐ2番目手で他のタイトルとは別格。名人はその名のごとく、長年かけてトップ棋士の仲間入りとなるA級に入り、残る9人全員と戦って最高勝率を挙げなければ名人に挑むことができない熾烈な争いなのです。(羽生さんは長年A級でトップオブトップとして棋会に君臨した生ける神なわけです。) 
竜王はタイトル戦の中で一番賞金が高く、名人と同じく別格扱い。竜王戦は名人戦とは異なり、女流棋士や奨励会員、アマチュアも含めて1年の間でトーナメントを勝ち抜けば誰にでも竜王になれる可能性があります。

これまでに竜王と名人の同時保持経験者は3人だけ

過去達成したのは、羽生九段、谷川九段、森内九段の3人。
豊島さんは史上4人目。いずれ豊島さんは将棋界のレジェンドになるでしょう。いや、既にレジェンドか、いやいやまだこれからか?!。
同時保持期間はそれぞれ通算で、羽生九段が約2年半、谷川九段と森内九段が共に約1年。
同時でなくても竜王と名人のタイトルを得た棋士は他に佐藤康光会長(2019年現在)のみ。

プロの将棋の面白さ

竜王・名人とはいえ無敵ではありません。
プロの将棋の面白いところは誰が勝つかほぼ予測不可能であり、いくら竜王・名人とはいえ絶対という言葉はありえません。 
当然格下相手に負けることも、格上相手に勝つことも十分あり得るのです。
 
渡辺三冠は竜王戦では抜群の成績を残していますが名人戦への登場は未だありません。 
佐藤九段のタイトル歴は名人のみです。これはこれですごい。 
こんな感じで棋士ごとに特徴があるのもとても興味深いです。

 

他の強豪棋士

現在レート1位で最強と言われる渡辺三冠

竜王の保持回数が歴代ダントツの11期でありますが名人挑戦の経験がありません。 
しかし、近いうちに豊島さんと名人をかけて熱い戦いが見れるかもしれません。 

目下棋会ナンバーワンの注目株、藤井聡太七段

タイトル挑戦もまだ。 
2019年度の王将挑戦者にあと1勝と迫りましたが広瀬さんにまさかの逆転負けを喫しました。
しかし、藤井七段の将棋人生はまだまだこれからです。羽生さんを超える伝説となるか楽しみで仕方ないですね。

 

リンク集(将棋連盟より)

豊島将之名人が竜王獲得
広瀬章人竜王 VS 豊島将之名人【棋士データ・成績比較】
豊島竜王名人の紹介
竜王戦
名人戦